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行動食のトレイルミックス自作レシピ|シャリバテを防ぐ黄金比の作り方

山のコラム | 2026/8/1 | 2026/8/4 | 500


以前、八ヶ岳を縦走している最中、だんだんと足が重くなり前に進めなくなったことがあります。原因は明らかな「シャリバテ(エネルギー切れ)」でした。ザックの中には市販の行動食の羊羹があったものの、その日は気温も高く甘すぎて受け付けず、カロリー摂取を怠ってしまったのです。

この経験をきっかけに、自分の体調や運動強度に合わせられる「自作の行動食(トレイルミックス)」を作るようになりました。市販品には市販品の良さがありますが、自分専用にチューニングできるのは自作ならではの強みです。

今回は、実際に何十回と山で試しながら固めてきた配合と、その過程で得た気づきを紹介します。
行動食の配合バランスを考える「4つの役割」
好きなものをただ混ぜるだけでは、単なる「お菓子の詰め合わせ」になってしまいます。長時間歩き続けることを想定し、役割ごとに食材を分けて考えると、バランスの良いミックスに仕上がります。以下は実際に使っている目安の比率です。
ベース(脂質・ビタミン):目安 約40%
■ 代表食材
素焼きアーモンド、カシューナッツ、くるみ、ピーカンナッツ

ナッツ類に含まれる脂質は、糖質に比べてゆっくりと時間をかけてエネルギーに変わっていく性質があるとされ、長距離・長時間の行動を支える土台になります。ビタミンEも含まれているため、行動食の中でも「持続系」の役割を担う食材として選ばれることが多いです。
クイック(糖質):目安 約30%
■ 代表食材
ドライマンゴー、レーズン、クランベリー、デーツ

すぐにエネルギーへ変換されやすい糖質は、急な登りの直前などに取り入れたい要素です。ドライフルーツは食物繊維も一緒に摂れるため、糖質だけを単独で摂るより体への吸収がゆるやかになりやすいと言われています。
アクセント(塩分・ミネラル):目安 約20%
■ 代表食材
柿の種、ジャイアントコーン、さきいか、塩昆布、小魚

汗をかくと水分だけでなく塩分やミネラルも失われます。塩気のある食材を取り入れることで味覚のリフレッシュにもつながり、甘いものが続いて飽きてきたタイミングでの「箸休め」的な役割を果たしてくれます。
ブースト(おたのしみ要素):目安 約10%
代表食材
高カカオチョコレート、バナナチップス、コーヒービーンズチョコ

疲れてくると、甘いものやカフェインを含む食材が気分転換のきっかけになることがあります。「自分へのご褒美」的な位置づけで少量加えることで、後半戦のモチベーション維持につながるという声も多いです。

上記の比率はあくまで目安です。運動強度や気温、個人の体調によって最適なバランスは変わるため、まずは少量で試しながら自分に合う配合を見つけていくのがおすすめです。
こだわりの食材選びのポイント
素焼きナッツを選ぶ理由
油で揚げていない、塩分・油分無添加のナッツは酸化しにくく、長時間の行動でも胃への負担が少なめです。特にくるみはオメガ3脂肪酸を含むことで知られ、定番の食材になっています。
柿の種という優れた「和の行動食」
米由来の炭水化物は小麦に比べて消化がスムーズと言われており、疲れていても食べやすいのが魅力です。適度な塩気と歯ごたえが、咀嚼によるリフレッシュ効果にもつながります。
ドライいちじくのミネラル感
カリウムやカルシウムを含み、行動後半のミックスに加えると独特のプチプチした食感が楽しめます。
高カカオチョコ(72%以上)の存在感
甘すぎない味わいで、コーヒーのような深いコクを楽しめます。ただし夏場は溶けやすいため、保冷対策や配合量には注意しましょう。
「ご当地食材」を1品加えてみる
下山後に立ち寄った道の駅や地元スーパーで見つけた干し芋や特産のドライフルーツを、次回のミックスに1品加えてみるのもおすすめです。旅の記憶が行動食に重なり、山行がより特別なものになります。
山でスマートに食べるための運用の工夫
広口タイプのボトルに入れる
一般的な袋のままだと、ザックの中で圧迫されてナッツが割れたり、中身が取り出しにくくなったりしがちです。広口タイプのボトル(ナルゲンボトルなど)に移しておくと、歩きながらでも片手で口に運びやすく、手も汚れず、ゴミも出ません。
味の並びを意識して混ぜる
ボトルの中で甘い・しょっぱい・酸っぱいがランダムに出てくるよう軽く振って混ぜておくと、単調な登りの中でも「次はどの味かな」という小さな楽しみが生まれ、食欲の維持に役立ちます。
こまめに、少量ずつ食べる
シャリバテを防ぐには、休憩時にまとめて食べるより、30分〜1時間おきに一口分を口にするペースの方が効果的です。空腹を感じてから食べるのではなく、感じる前に補給する意識を持ちましょう。
行動食ノートをつけてみる
どの配合が自分に合っていたか、どんな場面で食べたくなったかをメモしておくと、次回の調合の精度が上がっていきます。自作の行動食は、回数を重ねるほど自分専用にチューニングされていく点が大きな魅力です。
保存と持ち運びの注意点
自作のトレイルミックスは、市販品のように長期保存を前提とした加工がされていないものも多く含まれます。ドライフルーツやナッツは湿気を吸うと風味が落ちやすいため、密閉容器での保管と、作ってから数日以内の使い切りを目安にしましょう。

夏場はチョコレート類が溶けて他の食材にくっつきやすいため、量を減らすか、保冷剤と一緒にザックに入れるなどの対策が有効です。
まとめ:自分だけの「黄金比」を見つけよう
自作のトレイルミックスは、市販品にはない自由度の高さが最大の魅力です。「ベース・クイック・アクセント・ブースト」という4つの役割を意識しながら、自分の好みや体調、その日のコースに合わせて配合を調整してみてください。

サイドポケットに忍ばせた自分だけのボトルが、険しい急登やガスに包まれた稜線でも、心強い味方になってくれるはずです。次の山行では、ぜひ自分だけの「正解の配合」を探してみましょう。

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