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レインウェアの撥水加工を復活させる方法|洗濯とメンテナンスのコツ

山のコラム | 2026/7/25 | 2026/8/4 | 147


「レインウェアは洗うと防水性能が落ちる」というのは、登山初心者が陥りやすい誤解のひとつです。実際はその逆で、洗わずに使い続けることこそが、高価なウェアの寿命を縮める大きな原因になります。

泥汚れや皮脂、行動中にかいた汗の塩分は、防水透湿素材(ゴアテックスなど)の機能を目に見えないところで少しずつ損なっていきます。撥水力が落ちたと感じたら、まず専用洗剤で丁寧に洗い、そのあとに熱を加える、というシンプルな2段階のケアで、多くの場合は撥水性能を復活させられます。

この記事では、汚れが撥水力を落とす仕組みから、正しい洗濯手順、熱を使った復活方法、それでも撥水しない場合の対処法までをまとめました。
なぜ撥水力は落ちるのか:「ウェットアウト」が起きる仕組み
レインウェアの表面には、水をはじく「撥水加工」が施されています。この加工は、生地表面に並んだ非常に小さな突起(撥水基)によるものです。
汚れによる「ウェットアウト」
皮脂や泥、塩分が付着すると、この突起が寝てしまったり汚れの膜で覆われたりします。すると水玉ができず、生地の表面に水がベタッと張り付く「ウェットアウト(保水)」という状態になります。
透湿性が落ちて内部が蒸れる
表面が水の膜で覆われると、内側の汗や水蒸気を外に逃がすための微細な穴もふさがれてしまいます。結果として「外からの雨は防げているのに、中は汗と結露でびしょ濡れ」という状態になりやすく、体の冷えにつながる要因のひとつと考えられています。
行動中に「なんだかウェアの中が蒸れる」と感じたときは、撥水力の低下を疑ってみるとよいサインになります。
復活させる3ステップ:正しい洗濯手順
基本は洗濯機での丸洗いで問題ありません。ただし、高機能素材を傷めないために次のポイントを押さえておきましょう。
ステップ1:洗剤選び
避けたいのは柔軟剤、漂白剤、香料入りの洗剤です。これらは撥水成分や透湿性の機能に影響を与えるとされています。おすすめは、成分がシンプルな液体の中性洗剤(おしゃれ着用など)、またはニクワックス(NIKWAX)やグランジャーズ(Grangers)といったアウトドアウェア専用洗剤です。専用洗剤は生地に残りにくく設計されているため、機能を保ちやすいのが特徴です。
ステップ2:洗濯前の下準備
フロントファスナー、ポケット、ベルクロ、ドローコードをすべて閉じてから、洗濯ネットに入れます。開いたまま洗うと生地を傷つけたり、裏地の防水シール(シームテープ)が剥がれる原因になることがあります。洗濯ネットは他の衣類との摩擦を減らし、防水膜(メンブレン)を保護する役割も果たします。
ステップ3:すすぎ・脱水は丁寧に
洗剤が生地に残ると撥水性能に影響が出やすいため、すすぎはしっかり行いましょう。脱水は短時間の弱めの設定がおすすめです。
撥水力を蘇らせる「熱」のひと手間
洗濯して陰干しするだけでは、撥水力は十分に戻らないことがあります。寝てしまった撥水成分を立たせるために、仕上げに熱を加えるのが効果的とされています。
乾燥機を使う場合
中温〜低温の設定で20〜30分ほど乾燥機にかけます。温風の熱と適度な回転による摩擦で、撥水成分が立ち上がりやすくなります。
アイロンで代用する場合
乾燥機がない場合はアイロンでも代用できます。低温〜中温に設定し、ウェアの上に当て布を敷いて、滑らせるように優しく熱を当ててください。当て布を挟まずに直接熱を当てると、生地やシームテープを傷める恐れがあるため注意が必要です。
それでも撥水しないときは撥水剤で補う
長年の使用で撥水成分自体が物理的に落ちてしまった場合は、外部から撥水剤を補うという方法もあります。
つけ込みタイプ
洗濯機やバケツを使い、ウェア全体に撥水成分を行き渡らせる方法です。全体的な撥水低下が気になる場合に向いています。
スプレータイプ
肩や袖口など、ザックの摩擦で撥水力が落ちやすい部分をピンポイントでケアするのに便利です。使用時は必ず風通しの良い屋外で行い、吸い込まないよう注意してください。
メンテナンスの頻度・タイミングの目安
毎回の山行後に洗う必要はありませんが、次のようなタイミングを目安にすると管理しやすくなります。

■ 表面に水玉ができず、生地に水がベタッと張り付くようになったとき
■ 行動中にウェアの中が以前より蒸れると感じたとき
■ 泥や皮脂の汚れが目立ってきたとき、あるいは数回の使用ごとの節目

汚れが軽いうちにケアを繰り返すほど、撥水成分や防水膜への負担も少なく済みます。
まとめ
登山から帰って登山靴を洗うのと同じように、レインウェアも使用後は丁寧にケアしてあげましょう。
「洗って、乾かして、熱を加える」というシンプルな習慣を続けるだけで、数年後の撥水性能やウェアの寿命に大きな差が生まれます。

次の雨山行で水滴がコロコロと弾くのを見たとき、メンテナンスの効果をきっと実感できるはずです。大切なギアを正しくケアして、安全で快適な山行を楽しんでください。

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