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ヤマスル

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【保存版】山での「もしも」を生き抜く。救急セット(ファーストエイドキット)の作り方

山のコラム | 2026/3/24 | 2026/3/24 | 0


登山における救急セット(ファーストエイドキット)は、単なる「絆創膏入れ」ではありません。それは、トラブル時に「自力で下山を続行できるか」、あるいは「救助が来るまで命を繋ぎ止められるか」を左右する、極めて重要な生存装備です。
山岳医やプロガイドの知恵を凝縮した、本当に役立つ必携アイテムとその「使いこなし術」を徹底解説します。

1. 外傷処置:動ける状態をキープする

​山での怪我は「洗浄」と「固定」が基本です。現場で迅速に対応するための厳選アイテムです。

■ 絆創膏:
靴擦れや深い擦り傷の強い味方。痛みを劇的に和らげ、組織の再生を促します。通常の絆創膏とは別に、「靴擦れ専用サイズ」を数枚忍ばせておくのが鉄則です。
■ テーピングテープ:
丸ごと1巻は重いため、数枚分を剥離紙付きでカットして持ち歩きます。捻挫の固定だけでなく、「登山靴のソール剥がれ」の緊急補修などにも使える万能選手です。
■ 使い捨て手袋:
同行者や他人の処置をする際、血液感染のリスクから自分を守るためのマナーであり、必須装備です。

2. 内服薬・漢方:不快感をその場で断つ

​薬は「飲み慣れたもの」を小分けにして持ち歩きましょう。

■ ​芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):
登山者の間で「魔法の粉」と呼ばれる漢方。足が攣(つ)った直後に飲めば、数分で驚くほど楽になります。
■ 鎮痛解熱剤(ロキソニン等):
急な頭痛や、怪我による痛みの緩和に。高山病の初期症状(頭痛)への対応にも役立ちます。
■ 下痢止め・胃腸薬:
山での腹痛はパニックを招きます。水なしで飲めるタイプが重宝します。
■ ワセリン:
股ズレ・足ズレの予防、唇の乾燥、さらには軽微な傷口の保護までこなすマルチプレイヤーです。

3. 生存維持:命を繋ぐエマージェンシーギア

これらは「使わないこと」が一番ですが、持っていないと致命的な事態を招くアイテムです。

■ エマージェンシーシート(アルミブランケット):
動けなくなった際の低体温症を防ぐ最終防衛ライン。薄くて軽い「袋状(寝袋タイプ)」のものを選ぶと、隙間からの冷気を防ぎ、保温力が格段に上がります。
■ ポイズンリムーバー:
ハチやアブに刺された際、3分以内の吸引がその後の腫れと痛みを左右します。
■ ホイッスル:
声はすぐに枯れますが、笛の音は遠くまで届きます。ザックの胸元に付いていない場合は、必ずキットに外付けしましょう。

4. プロが実践する「パッキングの知恵」

■ 「見える化」と「防水」:
中身が透けて見えるジップロックは、防水性と視認性を両立する最強のケースです。
■「すぐ出す」と「奥にしまう」を分ける:
絆創膏や痛み止めなど、使用頻度の高いものはサコッシュや雨蓋へ。大きな包帯やアルミシートはキットの奥へと、優先順位を分けて配置しましょう。

最後に:救急セットは「定期検診」が必要

救急セットは、ザックに入れっぱなしにしていると「期限切れの薬」や「粘着力のなくなった絆創膏」だらけになります。
​半年に一度は中身を広げ、使用期限を確認し、足りないものを補充する。その時間は、あなた自身の登山技術と安全意識をアップデートする大切な儀式になります。

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